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タピオ怪談 〜Twitter漫画の組み立て方について考える〜

"Thinking about comic on Twitter"

2019.8.16

Twitterで漫画をアップする以上、拡散されてたくさんの人に読んでもらえることを期待してしまいますよね。

起承転結や絵で魅せることは大前提として、そこにプラス「Twitterなりのコツ」のようなものがあるということは、誰もが感じていることだと思います。

 

先日ふとショートストーリーが思い浮かんだとき、そのコツを自分なりにしっかり考えて描いてみようと思いました。

まずは、アップした作品から。

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基本の要素

この漫画には4枚という制約の中に、Twitterで拡散されやすい要素をかなり欲張って組み込んでいます。

①親和性
②読みやすさ
③意外性
④季節感
⑤時事性


具体的には下記のことを指します。

①若い男女
②シンプルなコマ割り・字の少なさ
③3ページ目の展開
④浴衣姿・怪談であること
⑤タピオカというアイテム

まさに2019年の夏だからこその物語!と言えると思います。

キャプションのつけ方

漫画の内容を端的に表したキャプションがあると、クリック率が高まります。お菓子のパッケージに「ほろにが甘い、大人のチョコレート」などと書いていあるのと同じですね。

 

最近は「◯◯が◯◯した話」のような書き方が“バズるためのお作法”のようになっていますが、今回「タピオカだと思ったら違った話」などと書いてしまったら身もフタもありません。

なので、このようにしました。

おそらくこのキャプションを読んだほとんどの人が、女の子が痛快な切り返しをして男の子をギャフンと言わせる展開を予想したのではないかな?と思います。

最近のTwitterにはミソジニーやミサンドリーなどのネガティブな感情をくすぐる漫画が溢れているので、ユーザーの中にそういった受け皿がすでにできているためです。

そちらの方向へミスリードすることで読み手の意識をマスキングし、3ページ目の展開を予想されにくくすることを狙っています。

(個人的に、「誰かを一方的に悪者にして溜飲を下げること」が好きではないので、そこへのアンチテーゼも込めました。)

ネタバレ防止策

それぞれのページは、Twitter上でトリミングされたときに肝心な部分が見えてしまわないように計算しています。

今回の場合、3ページ目の「カエルの卵だよ?」のセリフと、4ページ目の「女の子の影」がサムネで見えるとオチがわかってしまいます。

tapiokwaidan_tweet_2.jpg

テストでのトリミング状態。完全にネタバレしています。

Twitterは、おそらくですが画像の「重要と思われるエリア」を解析して、その部分が見えるようにトリミング表示を行っています。

正確なアルゴリズムは不明ですが、下記の要素を検出しているはずです。

人物の顔
テキスト
コントラストの高い部分

3ページ目に関しては、1コマ目の「カエルの卵だよ?」のセリフにフォーカスされては困るので、2コマ目に大きな「?」の文字を置いて、強制的にそこを検出させています。

tapiokwaidan_hikaku.jpg

ラストの空気感を高めるために、本来ここに文字はありませんでした。

そして4ページ目。女の子の影が見えてしまうと困るので、「えっ?」のセリフをかなり離れた位置に配置し、さらに安全策として女の子の影のベタ塗りをやめました。

tapiokwaidan_hikaku_2.jpg

影が目立たなくなったぶん、ネコを描いて視線を誘導することにしました。

オチに気づきにくくなってしまいましたが、「よく見たらわかる」くらいのほうが怪談っぽいと思い、完成としました。

 

漫画のリズム感を少しだけ犠牲にすることで、「意外性」が損われるのを回避できたと思います

以上が、今回のツイートに組み込まれた工夫です。あくまで一例ではありますが、Twitter漫画制作のヒントになったら嬉しいです!

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